青森市唯一の酒蔵「西田酒造店」とは?
青森県青森市油川大浜に蔵を構える「西田酒造店」は、1878年(明治11年)創業の老舗酒蔵です。
現在、青森市で唯一の酒蔵であり、地元だけでなく全国の日本酒ファンからも高い評価を受けている「田酒(でんしゅ)」や「喜久泉(きくいずみ)」の醸造元として知られています。
かつて外ヶ浜地域で最も栄えた港町・油川の地に根差し、伝統を重んじつつも進化を続けるその酒造りは、「日本酒の原点に帰る」という強い信念に裏打ちされたものです。
- 屋号:株式会社 西田酒造店
- 所在地:青森県青森市油川大浜46
- 創業:明治11年(1878年)
- 代表者:代表取締役 西田 司
西田酒造店の歴史 〜純米酒の復権を目指して〜
西田酒造店の歴史は、明治11年に始まりました。
戦後、多くの酒蔵が添加アルコールを使用した製法に移行する中、西田酒造店は「米と水だけで醸す本物の酒」への回帰を志し、昭和45年から純米酒の研究に取り組みます。
その成果として誕生したのが、昭和49年発売の純米酒「田酒」です。
この酒は当時珍しかった完全手造りの純米酒として注目を集め、昭和56年には雑誌「特選街」のうまい酒コンテストで全国1位を獲得。
一躍その名が全国に広まりました。
また、1985年(昭和60年)には大吟醸酒「喜久泉」も発売され、高品質な酒造りをさらに推し進めました。
平成以降も、設備の近代化を進めつつ、酒質の向上に尽力しており、現在もなお進化を続ける酒蔵です。
西田酒造店の代表銘柄紹介 〜田酒・喜久泉・外ヶ濱〜
◆ 田酒(でんしゅ)シリーズ
「田の酒」と書いて「でんしゅ」と読むこの酒は、まさに西田酒造店の代名詞。
酒の原料である米と水だけで醸される純米酒で、醸造アルコールや糖類を一切加えないことに強いこだわりを持ちます。
- 特別純米 田酒
青森県産酒造好適米「華吹雪」を使用。すっきりとした辛口の中に、米の旨味と深みが広がる逸品。 - 特別純米 山廃仕込 田酒
山廃仕込みによる濃厚なコクと、すっきりとした飲み口を両立。じっくり味わうほどに奥行きを感じる酒。 - 純米大吟醸 四割五分 田酒(10月限定出荷)
山田錦を45%まで磨き、香りと味のバランスを極めた数量限定の逸品。
◆ 喜久泉(きくいずみ)
「飲む人に喜びが久しく泉のごとく湧くように」との願いを込めて命名された「喜久泉」は、大吟醸をはじめとした高品質な酒として知られます。華やかな香りと、繊細で上品な味わいが魅力です。
◆ 外ヶ濱(そとがはま)
「外ヶ濱」は、西田酒造店が蔵を構える青森市油川地域が、かつて「外ヶ濱」と呼ばれていたことにちなんで名付けられた銘柄です。
田酒・喜久泉とは異なるアプローチで、洗練された味わいと挑戦的なスタイルを両立させたブランドとして注目を集めています。
中でも「外ヶ濱 吟醸酒」は、一年間の熟成を経て蔵出しされるのが特徴。熟成によって角が取れ、丸みと透明感のある味わいに艶やかな旨味が伸び、喉ごしも良く、心地よい余韻が楽しめる逸品です。
また、「外ヶ濱 特別純米 にごり生原酒」は、青森県産「華吹雪」と八甲田山系の軟水を使用して仕込まれた一本。キリッとした辛口の中に米の旨みとほのかな甘味が感じられ、飲み飽きない味わいが魅力です。
ラインナップは複数あり、季節限定品も含まれるため、出会えた時が飲み頃の一期一会な銘柄でもあります。
蔵元見学と購入方法 〜こだわりの酒を手に入れるには〜
◆ 蔵元見学は実施していません
西田酒造店では、品質管理と衛生管理の観点から一般向けの蔵見学は行っていません。
そのため、製造現場を直接見学することはできませんが、酒造りにかける真摯な姿勢と品質第一の理念は、銘柄を通じて感じ取ることができます。
◆ 購入方法について
西田酒造店は、直売を行っておらず、酒類の小売販売もしていません。
購入を希望する場合は、全国の取扱酒販店、もしくは公式サイト内の【取扱店舗検索ページ】を利用して、最寄りの酒販店を確認する必要があります。
※なお、公式に認定されていない店舗での転売や、プレミア価格での購入には十分注意が必要です。
まとめ
青森市に唯一残る酒蔵「西田酒造店」は、米と水だけで醸す純米酒「田酒」を世に送り出した名門です。
創業明治11年、純米酒への情熱を貫き、手造りの技と最先端の設備で、全国に多くのファンを持つ酒を造り続けています。
蔵見学は行っていませんが、地域と伝統に根差したその酒造りは、まさに「日本酒の原点」を体現しています。
酒販店を通じて、ぜひ一度この味に触れてみてください。
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